吾郷 日出夫(宮野構造生物物理研究室)による講演
生体膜から切り出されるアラキドン酸の代謝産物である、一連の脂質性情報伝達物質 (リピッドメディエータ)は、各々特異的な受容体を介し、多様な生理活性を示す。 このアラキドン酸由来のリピッドメディエータの中で、膜貫通型タンパク質ロイコト リエンC4合成酵素(LTC4S)によって生合成されるロイコトリエン(LT)C4と、そ の代謝産物であるLTD4、LTE4は、アミノ酸であるシステインを分子内に含むので、 総称してシステイニルロイコトリエン(CysLT)と呼ばれ、平滑筋の収縮に起因する 様々な急性炎症の原因物質である。実際、CysLT受容体拮抗薬は、抗アレルギー薬と して喘息の治療で使用されている。またCysLTの代謝に関わるタンパク質のノックア ウトマウスの病理生物学的解析の結果から、CysLTは、組織の繊維化を伴う慢性炎症 への関与も示唆されている。LTC4Sは、炎症性疾患の治療薬開発の対象タンパク質と して期待されている。ヒト由来膜貫通型タンパク質の中で、組換え体を使ってX線結 晶構造解析に成功した二例目となる、ヒト由来LTC4Sの結晶構造について紹介する。
日時 |
2007年9月26日(水)14:00〜
(終了しております。) |
場所 |
構造棟セミナーA・B室 |
演者 |
吾郷 日出夫(宮野構造生物物理研究室)
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演題 |
炎症メディエータ”ロイコトリエンC4”を合成するヒト由来膜貫通型タンパク質の結晶構造解析
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