米倉 功治(カリフォルニア大学*サンフランシスコ校)による講演
生体分子がその機能を発現するためには、それぞれの生理的な環境に合わせたコ ンフォーメーションをとることが必須である。生体内で、大きな複合体を形成し 機能する例も数多く知られている。また、ある種の膜蛋白質では精製試料を微量 しか得ることができず、依然として結晶化が非常に困難である。低温電子顕微鏡 法による構造解析では、試料の形態、分子量による制限は緩く、試料の結晶化は 必ずしも必要はない。従って、特に生体分子複合体の生理的な環境下における、 機能状態の立体構造の解析に威力を発揮する。一方、得られる構造の到達分解能 は試料の形態に大きく依存する。 細菌の運動器官であるべん毛は、細胞膜を透過するイオン流を使って200 〜 300 Hzで回転する生体分子機械であり、約25種類の異なった蛋白質からなる超分子複 合体である。我々はこれまで、べん毛繊維、べん毛繊維とその先端のキャップ蛋 白質複合体、モーターのトルクの発生を担うイオンチャネル等を、試料形態に応 じた解析法により、様々な分解能で構造解析してきた。これらの構造を例とし て、低温電子顕微鏡法による構造解析の実際について紹介する。
日時 |
2007年7月31日(火)13:30〜
(終了しております。) |
場所 |
構造棟セミナーA・B室 |
演者 |
米倉 功治(カリフォルニア大学 サンフランシスコ校)
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演題 |
低温電子顕微鏡法による生体超分子の三次元構造解析
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