新海 暁男(放射光システム生物学研究グループ 機能解析第1研究チーム)による講演

高度好熱菌Thermus thermophilus HB8は、85℃でも生育できる好気性真 正細菌である。本菌株由来の多くのタンパク質は高い安定性を示すので、構造・ 機能解析に適している。さらに、本菌株は、ゲノムサイズが約2 MBpと比較的小 さく、遺伝子数も約2,200個と比較的少ないにも関わらず最少培地でも独立して 生育できるので、基本的な生命現象を解明するための格好のモデル生物と考えら れている(http://www.thermus.org)
本プロジェクトではこれまでに大腸菌で発現を試みた約2,060種類のタ ンパク質のうち、360個の立体構造を明らかにしており、他の研究グループの成 果も合わせると、現時点で、全ORF数の約21%に当たる466個のタンパク質の立体 構造が明らかにされている。T. thermophilus HB8は、全ORF数に対して最も高い 割合で構造が明らかにされている生物である。
本プロジェクトでは、立体構造解析に加え、遺伝子破壊株における全 mRNAの発現レベルやその他の表現系の違いを解析するといった、機能ゲノム科学 的な手法を用いた機能解析も行っている。筆者らは、「転写」を切り口として、 T. thermophilus HB8株における生命現象の解明に取り組んでいる。今回は、 cAMPと結合して活性化される転写因子、cAMP receptor protein (CRP)の機能 を紹介する。

日時 2007年6月28日(木)14:00〜 (終了しております。)
場所 構造棟セミナーA・B室
演者 新海 暁男(放射光システム生物学研究グループ 機能解析第1研究チーム)
演題 高度好熱菌Thermus thermophilus HB8株における構造・機能ゲノム科学

前のページに戻る