前田構造生物化学研究室の講演

トロポミオシンは、284残基400Aの長さのcoiled-coil蛋白質であり、骨格筋、および、心筋において、トロポニンとともにカルシウム濃度による筋肉の張力調節に関わっている。1946年にBaileyが本蛋白質を始めて報告した論文中で既 に結晶化が可能なことが記述されていたが、多くの試みにも関わらず、7A分解能の結晶解析結果が登録されているのみである。これは、トロポミオシン分子特有の柔軟性が良質の結晶成長の妨げになっているためであると考えられるが、他方、この柔軟性自体がトロポミオシンの本質的な機能、および、カルシウム調節に関与しているとも考えられれる。 近年、N末端側81残基のフラグメントの結晶構造が2.0Aで解かれ、また、Leu-Zipper融合蛋白質として254-284までの結晶構造が2.7Aで解かれ、原子分解能でのトロポミオシンの結晶構造解析の口火を切った。しかしながら、トロポニンコアと相互作用すると言われている機能的に重要な部位、すなわち、Cys190周辺はこの中に含まれておらず、依然として詳細は不明である。本研究室では、最近、このCys190を含むフラグメントの結晶構造解析が進行中である。まだ、完全に解析が終わっていないものの、結晶化が難しい蛋白質を強引に結晶構造解析する一つのケーススタディーとして、いくつか興味深い点を含むので、ここにその途中結果を紹介したい。

日時 2005年7月14日(木) 16:00〜 (終了しております。)
演者 似内 靖(前田構造生物化学研究室)
演題 フレキシブルな蛋白質をどう結晶化するか?
ウサギ骨格筋トロポミオシンC末端フラグメントの結晶構造解析

前のページに戻る